睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法

検査結果から睡眠時無呼吸症候群(SAS)であることが確認されたら、
そのタイプや重症度、原因などを診断します。
この診断に基づき、治療法が選択されます。


代表的な治療法には、症状を緩和させる「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)」および
「口腔内装置(マウスピース)」、根本的に原因を取り除く「手術による治療」の3つがあります。


また、こうした治療に加えて、「生活習慣の改善」が必要になるのは言うまでもありません。肥満気味の方ですと、首や喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、「ダイエット」も治療の一環になります。



経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)による治療

CPAP(シーパップ)療法とは、睡眠時に特殊な専用マスクを鼻に取り付け、ここから気道に向けて圧力をかけた空気を送り込み、気道を常に陽圧に保つことにより気道の閉塞を防ぐ治療法です。

効果が高いうえ副作用も少ないので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として欧米や日本国内で広く普及している治療法です。中等症~重症の睡眠時無呼吸症候群の治療には、このCPAP療法が第一選択となっています。

なお、高血圧などの合併症の予防・改善効果が立証されているため、1998年より、中等症以上の患者さんについては保険適用が認められています。

健康保険でCPAP治療を行うには、毎月1回の外来受診が必要で、3割負担の方の場合、負担額の目安は毎月5,000円程度になります。


口腔内装置(マウスピース)による治療

就寝時にマウスピースを装着する治療法で、軽度な症状に適した治療法です。

あごの小さい患者さんや、面長の患者さんは、マウスピースで、下あごを上あごよりも少し前に出るように固定することにより、夜間の舌根沈下(舌の筋の弛緩により、舌がそれ自体の重みで喉の奥に落ち込んでしまうこと)を抑え、気道を確保します。

使用するマウスピースは、専門の歯科で上下の歯型を取り、1人ひとりに合わせたものをオーダーメードにて作成します。


手術による療法

扁桃腺肥大やお子さんのアデノイド肥大などが原因の場合は、摘出手術が有効な場合があります。
睡眠時無呼吸症候群の手術療法には、下記のようなものがあります。


口蓋扁桃摘出術

口蓋垂(のどちんこ)の両脇にあるリンパ組織の塊(口蓋扁桃)を摘出する手術


軟口蓋形成術

軟口蓋(口腔の奥の部分で、その前方の硬口蓋に続く軟らかい部分)の一部を切り取ることで気道を広げる手術


鼻中隔矯正術

鼻の中の軟骨の湾曲した部分を切除したり、突出した骨の部分を削り取る手術